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第一回クソギター選手権!!!【四谷アウトブレイク】

8/1(月)四谷アウトブレイクにて「第一回クソギター選手権」が開催された。イベントの趣旨は、「クソギターを誰が一番上手く弾けるかを勝負する。」というもの。
事前にイベント名を聞いた時、筆者は面白そう!と思うのと同時に真面目にレポートする事を諦めた。
「今回は思い切りラフにいくぞ。」
と心に決めレポートに臨むことにした。

「それでは、第一回クソギター選手権開催します!!」
MCをつとめるboone氏の開始を告げる言葉により会場は大盛り上がり。しかし、クソギター選手権と言いながら意外に良い音がするらしい。
初っ端から企画の目的を根底から覆してしまうという斬新さは、アウトブレイクならではとでも言うべきか。
バックバンドの紹介を終え早速、ギタリストが登場する。

―トップを飾るのは、ギタリスト歴22年を誇る「MURATORIX」。
ギターを高いポジションに構えたその風貌はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロを彷彿させる。
これがアナーキズム(無政府主義)だと言わんばかりの歪ませまくった音で「Sex Pistols – Anarchy In The UK.」を奏でる。
ライトハンド奏法やディスクグラインダーを使った火花を飛ばすパフォーマンスで大いに会場を沸かせてくれた。
しかし、派手にやり過ぎたのか弦を切ってしまうというアクシデントが発生。
弦を張り替えるため、2番手を前にいきなりのハーフタイムショーへと突入する。

MURATORIX
Photo:MURATORIX

―「ジープの長渕は感動する。」
と言うboone氏の呼びかけにより「Jeep橋本」氏に白羽の矢が飛んだ。
(長渕剛のものまねで本当に感動するのだろうか?)
誰もがそう思った事だろう。
しかし、Jeep橋本は皆の期待を良い意味で裏切る。
「乾杯。81年~84年~89年~2006年~96年。」
次々と、年代別の長渕剛氏の歌声を披露する。
それが正解なのか不正解なのかは不明だが、Jeep橋本の“美声”と“変化”は確実に観客の心を掴んだ。
(面白いから笑いたい。しかし美声に聴き入ってしまう。)
対局した二つの感情が同居しながらなぜか感動してしまう観客たちがいた。

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Photo:Jeep橋本

―二番手は、GCACのギタリスト「鈴木コータ」。
選んだ曲は「Nirvana – Smells Like Teen Spirit 」。
セッティングを皆に見られる事に恥ずかしみを覚えながら中々ジャンクな音作りをする。
身体を縦に横にと揺らしながらグランジ独特の世界観をみせてくれた。

kota-suzuki
Photo:鈴木コータ(GCAC)

―三番手をつとめるのは、Isolatorのギタリスト「OSHO」。
選んだ曲は、「Sex Pistols – Anarchy In The UK.」。
早速、音作りを始めるが、チューニングが合っていない、音が小さい、何故かクリーントーン。
何とか一曲を弾き終えたOSHO。
そして、boone氏の絶妙なコメントがOSHOの心を砕く。
boone:
「一本のクソギターをどれだけ上手く弾けるかをテーマにしているのに、間違えてクソギタリストを呼んでしまいました。皆さん、クソギタリスト選手権じゃないですからね。」
OSHO:
『いや、このギタークソなんですよ。』
boone:
「お前がクソなんだよ!」
その一言で場内は爆笑の渦に。
ちなみに、筆者はboone氏に一票だ。

osho
Photo:OSHO(Isolator)

―四番手は、ちくわ氏(ロックンロールサービス)。
なんと仕事帰りのスーツで登場。
披露するのは、「Lenny Kravitz – Rock and Roll Is Dead」。
(デーデデデーデデーデデーデー)
今回の楽曲の中では割りかし難易度が高いが、サラリーマンギタリストにとっては何の問題もない様だ。
“ギターは顔で弾け”と言わんばかりの顔ギター。
花道を十二分に使い会場を沸かせてくれた。

chikuwa
Photo:ちくわ(ロックンロールサービス)

―休憩・歓談時間を挟み、五番手はクソギターの持ち主であるひとし氏(the8flag)が登場する。
選んだ曲は、「Smells Like Teen Spirit 」。
何かが降りてきたのか?
ぶっ壊れてしまったギタリストひとしは、世界観を表現するというより、ひとし自身がニルヴァーナの世界に身を投じているかの様に思えた。

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Photo:ひとし(the8flag)

―六番手をつとめるのは、くぼぞ氏(ありたっけの世界)。
本日の持ち物はピックだけ。
エフェクターなしのアンプ直結で勝負する。
選んだ曲は「Anarchy In The UK.」。
くそギターから響くその音は、会場にいるすべての観客たちの心に届き体を震わす。
(マジか!?)
心を丸裸にして魂から出る歌・音。
はっきり言ってレベルが違う。
本物のギタリストとはこういうものだ。

kubozo
Photo:くぼぞ(ありたっけの世界)

―七番手は、権藤氏(ギターの東大)。
課題曲ではなく、なんと「セッション」を選択する。
ライブハウスでセッションを見る事はあまりない。
これはなかなか楽しみだ。
優等生的な容姿の権藤氏は、突然、右利き用のギターをひっくり返す。
(サウスポー?)
とは言っても弦の張り方は通常通り。
このスタイルは、カートコバーンかジミヘンか。
どちらか忘れてしまったが、果たしてそのまま弾けるのか?
という疑問は12秒くらいで吹っ飛ぶ。
B♭のキーから始まるセッション。
初めてあったメンバーたちは昔からの友人の様に息を合わせる。
派手さはないが、その正確さはその辺のプロでは敵わない。
“やばすぎるスキル”
思わず韻を踏んでしまうほど卓越した技術を見せつけてくれた。

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Photo:権藤(ギターの東大)

―八番手は、ヒップホップバンド「P.O.P」からサイトウリョージ氏。
ハーフパンツにTシャツ、キャップ、低いポジションに構えたギター。メロコア全盛時代を思い起こさせる風貌だ。
果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろう。
選んだ曲はMotley Crueのキラーチューン「Kickstart My Heart」 。
の筈が、Chuck Berryの「Johnny B. Goode」を突然弾きだす。
曲が変わったのか?とバックバンドが合わせていく。
目を瞑りながらギターを奏で、音と身体、音と指先、音と顔面がリンクする。
Johnny B. Goodeに満足がいったのか別の課題曲を順々に演奏する。
(何かがおかしい。)
と会場全体に違和感を覚える空気が漂うが、当人にはそんなものは関係なくギターの音に酔いしれる。
長い長い。とにかく長い。
持ち時間を大幅に超えながら結局、課題曲の全曲を演奏してしまった。
会場内は、“やっと終わった”という安堵感に包まれる。
最後に一つ書いておこう。
サイトウリョージ氏。この男ギターのスキルは半端ない。

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Photo:サイトウリョージ(P.O.P)

―九番手は、ハーフタイムショーでも出演したJeep橋本氏。
意味はよくわからないが、フライドチキンの曲を弾くと言い出す。
イベントも終盤に差し掛かりアウトブレイクはルール無視の無法地帯へと変貌を遂げる。
しかし、このJeep橋本もなかなかのテクニシャン。
笑顔満開でステージに立つ事を楽しみながら逆手のライトハンド奏法で会場を沸かせてくれた。

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Photo:Jeep橋本

―十番手トリを飾ってくれるのは、今回の「クソギター選手権」の発案者TOO SHYのJIMI氏。
彼女が選んだ楽曲は、「Lenny Kravitz – Rock and Roll Is Dead」。
丸い眼鏡を掛け読書の好きそうな風貌の彼女はギターを持った瞬間に豹変する。
そこにいたのは、読書好きの女の子ではなく一人の女性ロックンローラーだった。

jimi
Photo:JIMI(TOO SHY)

彼女が、正統派な音・パフォーマンスを魅せてくれたところで、イベントはフィナーレへと突入する。
年代毎の長渕剛を披露してくれたJeep橋本氏を初め、めちゃくちゃやったサイトウリョージ氏。
本日の出演者たちが順次、ステージに上がり長渕剛の乾杯を演奏していった。
最後、「第1回クソギター選手権!!」の優勝者がドラムロールの音とともに、発表される。
「第1回クソギター選手権の優勝者は…
権藤さんに決定しました!」
『お〜!おめでとう!』
会場内は本日一の盛り上がりをみせる。
さすがライブハウスに入り浸る観客たちは耳が肥えている。
ハイスキルなギタリスト達の中でもその違いを聴き分けていた様だ。
“感動のフィナーレ”
とは少し違うが、「クソギター選手権」は、皆が楽しめるイベント企画になったのではないだろうか。

live

優勝者:権藤氏(ギターの東大)
gondo2
 
-第1回クソギター選手権‼︎-

◾︎バックバンド
Vo.KILLA
Ba.ウエダテツヤ
Dr.チャーリー

◾︎出演ギタリスト
1.MURATORIX
2.鈴木コータ(GCAC)
3.OSHO(Isolator)
4.ちくわ(ロックンロールサービス)
5.ひとし(the8flag)
6.くぼぞ(ありたっけの世界)
7.権藤(ギターの東大)
8.サイトウリョージ(P.O.P)
9.Jeep橋本
10.JIMI(TOO SHY)

今回のレポートでは、ギターという楽器が、奏でる本人の人間性をそのままに表現するものだという事を改めて感じさせてくれた。
そして、ライブハウスが、ライブをやる為の場としてだけでなく、シンガー・バンドにとっての基地(活動拠点)となっている事に筆者は嬉しさを覚えた。
ライブハウスに客が定着しない今の時代、こういった場所が存在することはとても微笑ましいことだと思う。